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岡山市で相続した「古い家」|解体せずに売却するメリットとデメリット news 01
2026.08.28
コラム

岡山市で相続した実家。築40年を超え、人が住まなくなって数年——。「更地にしないと売れないと言われたが、解体費用が100万円以上と聞いて手が止まっている」。株式会社タークス不動産にも、そうした相談が毎月のように寄せられます。
結論から申し上げると、古い建物が建ったままでも「古家付き土地」として売却する方法はあります。むしろ解体してから売ったほうが手取りが減るケースも珍しくありません。解体費用は売却前に自己資金から先出しする必要があり、取り壊せば翌年度から土地の固定資産税の軽減措置が外れる可能性もあるためです。
逆に古家を残せば「解体費用分は値引きを」と交渉されやすい。どちらが有利かは物件ごとに違います。この記事では、解体せずに売るメリットとデメリット、岡山市で売却を進める実践ノウハウ、損をしないための相談手順を整理していきます。
岡山市で相続した古い家は「解体せず」に売却できるのか
古い家は解体しないと売れない、という思い込みは、いったん外して構いません。築古の建物が残ったままでも「古家付き土地」として売り出す方法は実務上とられています。ただし有利かどうかは、敷地条件を確認しないと判断できません。
「古家付き土地」は実務上の表現で、現状のまま売り出せる
古家付き土地とは、法律上の物件区分ではなく、建物より土地の価値を中心に売り出す際に使われる実務上の表現です。築年数や劣化状況によっては建物の市場評価をほとんど見込まないこともありますが、価値が一律にゼロになるわけではなく、固定資産税の家屋評価額とも別の概念。岡山市の家屋評価額は、再建築費評点数や経年減点補正率をもとに算出されます。
- 現況引渡し(今ある状態のまま引き渡す)とするかは契約で決まる
- 解体するかどうか、誰が費用を負担するかも契約条件のひとつ
築古の家を建てたまま売ってはいけないという決まりは、法律上どこにもありません。
中古住宅を検討する買主の選択肢になり得る
新築価格が上がるなか、中古住宅を買って手を入れながら住む選択をする人もいます。建物が残っていれば、そうした買主の検討対象に入る可能性は生まれる。ただし、築古の建物があること自体が集客力になるわけではなく、需要の有無は立地と建物の状態次第です。
参考までに、総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、岡山市の賃貸用・売却用および別荘等を除く空き家は22,900戸、総住宅数の5.9%。ただしこの数値には取壊し予定や長期不在の住宅も含まれ、売却可能な中古住宅の在庫量を示すものではありません。
立地や敷地条件によって確認すべきことが変わる
売り方をエリアや面積だけで決めることはできません。先に確認すべきは、その敷地で建て替えができるのかどうかです。
| 立地・条件 | 解体前に確認しておきたいこと |
|---|---|
| 中心市街地・住宅地の敷地 | 建築基準法上の道路種別、接道の長さ、セットバックの要否 |
| 前面道路が4m未満・接道が2m未満 | 42条2項道路の指定の有無と後退方法、43条2項の認定・許可の可能性 |
| 市街化調整区域・農地に隣接 | 開発許可や建築許可の要否、既存建物の適法性、農地法上の手続き |
都市計画区域等では、原則として敷地が建築基準法上の道路に2m以上接している必要があります。ただし幅員4m未満でも同法42条2項道路として扱われ、セットバックによって建て替えられる場合があり、接道が不足していても43条2項の認定・許可を受けられることも。「既存不適格建築物であること」と「再建築不可であること」は同じではありません。なお都市計画区域外には、建築基準法上の道路種別そのものが存在しません。
✓ポイント:敷地が何mの道路に何m接しているかは、課税明細書や登記簿だけでは判断できません。解体の見積もりを取る前に、道路種別、接道長、セットバック、認定・許可の可能性を岡山市建築指導課の窓口で確認しておくことが、遠回りに見えて最短ルートになります。
解体せずに「そのまま売却」する3つのメリット
古家を残す意味は、売主が費用と判断のリスクを先に背負わずに済む点にあります。お金、税金、買主の反応という3つの側面から見ていきます。
解体費用を自己資金から持ち出さずに済む
解体費用は木造30坪程度で100万〜200万円程度が一般的な目安。ただし次の要素が重なると金額は膨らみます。
- 重機が入らない狭い前面道路(手壊し作業が増える)
- ブロック塀、庭石、樹木、物置などの附帯工事
- 昭和期の建材に含まれるアスベストの調査・除去
支払いは工事完了時が通常で、売却代金が入る前に現金を用意しなければならない点が相続人にとって重い負担になります。相続税の納付や代償金の支払いが控えていれば、なおさらでしょう。
なお岡山市には、市が特定空家等と判断した建物などを対象に除却費用の一部を補助する制度があります。ただし古い家であれば使えるものではなく、所有者の要件、市税の納付状況、市内施工業者による施工、事前相談などの条件があり、勧告を受けた特定空家等は対象外です。補助率や受付期間は年度ごとに変わるため、市の担当課で確認してください。
住宅用地の特例が維持される可能性がある
住宅の敷地には、固定資産税の課税標準を抑える特例が設けられています。
| 区分 | 面積 | 固定資産税の課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 住宅用地のうち200㎡以下の部分 | 評価額の6分の1 |
| 一般住宅用地 | 小規模住宅用地以外の住宅用地 | 評価額の3分の1 |
住宅を取り壊すと、原則として翌年1月1日時点で住宅が存在しない敷地は、翌年度から特例の対象外となります。ただし、特例が外れても税額が一律に6倍になるわけではありません。負担調整措置があり、家屋分の固定資産税がなくなるため、土地と建物を合計した負担が必ず増えるとも限らないからです。都市計画税は市街化区域内の土地・家屋に課税され、こちらにも別の特例率があります。判断材料にするなら感覚ではなく試算を。解体前に市税事務所へ相談し、取り壊した場合の土地の税額と家屋分がなくなる差し引きを確認しておくと、比較の精度が上がります。
建物を残すことで検討してもらえる買主もいる
建物を残せば、中古住宅として活用したい買主の検討対象になる可能性があります。一方で、解体の手間や費用を負担したくない買主からは敬遠されることも。古家付きと更地のどちらが買主層を広げるかは、建物の状態、接道、地域の土地需要、想定する買主像によって変わります。決め打ちせず、両方の反応を見られるようにしておくのが現実的です。
解体せずに売却するデメリットと注意点
当然リスクもあります。知らずに進めると、売却後にトラブルを抱え込むことにもなりかねません。
更地を探す買主から敬遠され、売却が長期化しやすい
注文住宅を建てたい買主は更地を望みます。古家があると解体見積もりや工期の調整が必要になり、住宅ローンの実行スケジュールも組みにくいため。金融機関によっては解体費用をローンに含められず、買主が別途現金を用意することに。近隣に更地の競合があると、価格以前の理由で見送られます。
解体費用相当の値下げ交渉を受けやすい
価格交渉では、ほぼ確実に解体費用の話が出ます。厄介なのは、その金額が実勢より高めに見積もられがちな点。防ぐ手は単純で、売り出し前に自分でも解体業者から見積もりを取っておくこと。根拠となる数字を持っているかどうかで、交渉の主導権は変わります。
「契約不適合責任」を問われるリスクがある
引き渡した物件が契約内容に適合しない場合、売主は修補や代金減額、損害賠償の責任を負います。雨漏り、シロアリ被害、給排水管の劣化など、外から見えない不具合が典型。相続した実家は売主自身が住んでいなかったことがほとんどで、把握できていない状態がそのままリスクになります。
対策の基本は「隠さず、書面に残す」こと。把握している不具合を告知書に正確に記載し、責任の範囲や期間を契約書で定めておけば、後日の紛争はかなり防げます。なお民法では、売主が知りながら告げなかった事実は、免責の特約があっても責任を負うと定められています。
放置し続けた場合の税負担にも注意を。管理が行き届かない家は「管理不全空家等」として市の指導・勧告の対象となり得ます。勧告を受けたまま賦課期日を迎えると住宅用地の特例が適用されないため、建物を残していれば安心、というわけではありません。
出典:民法|e-Gov法令検索
岡山市で売却を進めるための実践ノウハウ
古家付き土地は、売り出す前の準備で買主に伝わる情報量が変わります。検討したい3つの手当てを紹介します。
| 準備項目 | 費用の目安 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 遺品整理・清掃 | 15万〜60万円程度 | 数日〜2週間 |
| 建物状況調査(インスペクション) | 5万〜10万円程度 | 報告書まで1週間前後 |
| 境界確定測量 | 40万〜80万円程度 | 2〜4か月 |
※費用・期間は一般的な目安です。建物規模、構造、接道、アスベストの有無、残置物の量、境界や登記の状態によって大きく変動します。複数社の見積もりで比較してください。
遺品整理と清掃は売却方法に応じて判断する
必要性は売り方によって変わります。個人へ仲介で売るなら、室内が片付いていれば内覧時の印象は改善しやすいもの。一方、買取や買主が残置物処分を行う契約では、片付けないほうが費用を抑えられることもあります。仏壇や神棚の扱いは宗派や家族の意向によるため、必要に応じて寺院や神社へ相談し、家族の合意をとってから進めるのが無難です。
建物状況調査(インスペクション)で状態を可視化する
宅地建物取引業法上の建物状況調査は、既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士が、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分などを目視・計測して調べるものです。ただし確認できる範囲には限界があり、欠陥がないことを保証したり、修繕費用を算定したりする調査ではありません。令和6年4月からは標準媒介契約約款にもこの限界が明記されました。修繕費の把握が必要なら、別途見積もりを取ることになります。それでも状態が書面で示されていれば、買主は購入後の負担を検討しやすくなる。値引きを確実に防げるわけではないものの、判断材料を渡せる点に意味があります。
境界確定測量を早めに検討しておく
古い住宅地では、境界標が失われていたりブロック塀が越境していたりします。測量では土地家屋調査士が隣地所有者の立ち会いのもとで境界を確認し、書面に残す流れ。隣地で相続が発生していると日程調整だけで数か月かかることもあり、必要と判断したら早めの着手が安全です。
出典:既存住宅流通について(建物状況調査(インスペクション)活用に向けて)|国土交通省
一般の買い手が見つからない場合の解決策
売り出しから半年、反応がない。そんなときは売り方を切り替える手があります。仲介と買取は競合する手段ではなく、状況に応じて使い分けるものです。
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場相場に近づけやすい | 仲介より低くなるのが一般的 |
| 期間 | 買主が現れるまで読みにくい | 仲介より短期間で決済に至ることが多い |
| 内覧対応 | 必要 | 原則不要 |
| 残置物 | 事前対応が望ましい | そのまま相談できる場合がある |
| 契約不適合責任 | 売主が負う(特約で調整) | 免除・限定する特約を設けることが多い |
| 仲介手数料 | 必要 | 不要 |
「買取」なら現状のまま短期間で手放せる場合がある
買取は不動産会社が買主となる方法で、買主を探す期間が不要な分、売却時期が読みやすくなります。家財が残っていても片付けずに引き渡せる場合があり、内覧対応も原則不要。遠方で管理に通えない、相続人が複数いて早期に現金化したい。そうした事情があるなら、価格差を差し引いても選ぶ価値があります。
買取では契約不適合責任を免除・限定する特約を設けることが多い
不動産会社による買取では、売買契約で売主の契約不適合責任を免除または限定することがあります。ただし自動的に免責されるわけではなく、契約書にその定めがなければ責任は残ります。売主が把握している雨漏りやシロアリ被害を告げなかった場合は、免責特約があっても責任を問われる可能性も。契約前に特約の有無と範囲を確認してください。
迷ったら岡山市の専門家へ相談を
結局どちらが得なのか。答えは、手取り額を両方のパターンで計算して初めて出るというもの。感覚や噂ではなく数字で比べるのが、損をしない近道です。
両パターンの手取り額を比較する
比べるべきは売却価格だけではありません。想定売却価格(更地/古家付き)、解体費用と附帯工事費、保有期間中の固定資産税・都市計画税、仲介手数料や測量費、譲渡所得税と住民税。並べて初めて優劣が見えます。
税金の扱いは結論を左右します。相続した空き家の売却では、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があり、適用期限は令和9年12月31日まで。令和6年1月1日以後の譲渡では、古家付きのまま売り、買主が譲渡の翌年2月15日までに耐震改修または全部の取壊しを行った場合も対象になり得ます。ただし要件は多岐にわたります。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋で、区分所有建物ではないこと
- 相続開始の直前に、原則として被相続人が一人で居住していたこと
- 相続後に事業用・貸付用・居住用として使っていないこと
- 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
- 売却代金が1億円以下であること
- 確定申告と、市区町村が交付する確認書などの書類が必要なこと
適用の可否は個別事情で変わるため、契約前に税理士や所轄税務署へ確認するのが確実です。相続人が3人以上の場合、控除額は1人あたり2,000万円までとなります。
登記も忘れずに。令和6年4月1日より前に開始した相続で、すでに不動産の取得を知っていた場合は、原則として令和9年3月31日までに相続登記が必要です。同日以後の相続は、取得を知った日から3年以内が原則。故人名義のままでも査定や相談は可能ですが、買主への所有権移転登記を行う決済までには登記を済ませておく必要があります。
出典:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
相続登記・税務の専門家と連携できる会社を選ぶ
登記申請の代理は司法書士、税務相談や申告は税理士の専門領域です。不動産会社に期待できるのは、専門家へつなぎ、連絡と進行を整理する役割。会社選びでは次の4点を確認してください。
- 司法書士や税理士と連携し、相談先まで案内してもらえるか
- 岡山市内の道路事情や地域の需要を、根拠を添えて説明できるか
- 仲介と買取の両方を扱い、中立的に比較提案してくれるか
- 更地と古家付きの査定額を、算出根拠とともに示せるか
✓ポイント:相談のタイミングは「売ると決めてから」ではなく「迷い始めた時点」が正解です。解体契約を結んだ後では、選べたはずの選択肢がひとつ消えます。
まとめ
岡山市で相続した古い家は、解体せずに古家付き土地として売る方法があります。解体費用を持ち出さずに済み、住宅用地の特例が維持される可能性もある。一方で更地を望む買主からは敬遠され、値引き交渉や契約不適合責任のリスクも背負います。判断を分けるのは、敷地条件の確認と手取り額の試算です。
株式会社タークス不動産では、岡山市内の相続物件について更地と古家付きの両面から査定を行い、司法書士や税理士と連携しながら売却までをサポートしています。解体業者に連絡する前に、まずは現状のままでいくらになるのか、お気軽にお問い合わせください。
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